ここで、
交換前の状態と比較してみることにします。
ラジエーターの効果自体は具体的に何度下がるかと言うのが見えませんが、
交換前後で明確になっているのがローテンプサーモ(冷却開始温度)です。
純正が76.5度開弁に比べてNISMOが63度開弁で、
13.5度の差です。
【注意】
以下の計算は本当に「単純計算」です。
効果なんて外気温などの要因が変われば違うのは当たり前です。
(同じ水温80度でも、外気温が10度違えば下がる温度も変わりまし、
単純に10度の差じゃなくなります、
それに95度を越えれば電動FANが周りますし・・・)
それを無視して計算していますので・・・
そこを考慮のうえ読み進んでくださいね。
状況 |
対策前水温
(Tpre) |
対策後水温
(Taft.all) |
町乗り(t30)
(外気温27~30度) |
88~92度
[Tpre(t30)] |
68~72度
[Taft.all(t30)] |
幸いなことに外気温30度前後
(正確には外気温に数度の差が有りますが・・・)
のデータが双方あったので、
それで無理やり比較して効果を計算しちゃいます。
まずは対策の効果から。
これは対策前と対策後の温度差から単純に計算すると
Teff(t30)(対策の効果)=
Tpre(t30)+Taft.all(t30)=88~92度-68~72度=約20度
と想像できます。
ただ、
この効果にはローテンプサーモによる冷却開始温度が含まれてます。
対策前の冷却開始は76.5度(Tsth)、
対策後の冷却開始温度は63度(Tstl)です
(全開はそれぞれ10~15度ほど温度が上がったところですが・・・)
この冷却開始温度と、
つりあった前述の対策前後の温度から、
冷却開始から温度がつりあうまでの上昇度合いが想像できます・・・
Trad.nor.eff(純正ラジエーター温度上昇度)=Tpre(t30)-Tsth=11.5~15.5度
Trad.ext.eff(アルミ3層ラジエーター温度上昇度)=Taft.all(t30)-Tstl=5~9度
参考に、
これから純正とアルミ3層の冷却力の差は
Trad.nor-ext.eff(純正-アルミ3層)=
Trad.nor.eff-Trad.ext.eff=
6.5度(約43~58%)
と言う結果が導き出されます・・・
冒頭で収集した情報である
「ラジエーターなど交換しても数度の差しかない」
というお話は間違いじゃないみたいですね。
これらを元にアルミ3層ラジエーターのみの場合の水温(Taft.rad)を想像してみると
Taft.rad(t30)=Tsth+Trad.ext.eff=81.5~85.5度
おお、まさに理想的な温度に落ち着きますね!
ここまでの計算をまとめてみると・・・
アルミ3層ラジエーター+ローテンプサーモ対策後の水温から
アルミ3層ラジエーターのみの水温や純正そのままの場合の水温を計算すると・・・
Taft.rad(x)=Tsth+(Taft.all(x)-Tstl)
Tpre(x)=Taft.rad(x)+Trad.nor-ext.eff
(x=走行条件)
この式を使って、
引き続き真夏の町乗り&夏季サーキット走行の水温を計算してみましょう。
状況 |
冷却開始 温度 |
水温 |
(参考) 純正時水温 |
町乗り(t40)
(外気温40度) |
63度
(Tstl) |
75~85度
[Taft.all(t40)] |
- |
〃 |
76.5度
(Tsth) |
(1)
[Taft.rad(t40)] |
(2)
[Tpre(t40)] |
サーキット(sct)
(晴・夏季) |
63度
(Tstl) |
83度
[Taft.all(sct)] |
- |
〃 |
76.5度
(Tslh) |
(3)
[Taft.rad(sct)] |
(4)
[Tpre(sct)] |
(1)=Taft.rad(t40)=Tsth+(Taft.all(t40)-Tstl)=88.5~98.5度
(2)=Tpre(t40)=Taft.rad(t40)+Trad.nor-ext.eff=95~105度
(3)=Taft.rad(sct)=Tsth+(Taft.all(sct)-Tstl)=96.5度
(4)=Tpre(sct)=Taft.rad(sct)+Trad.nor-ext.eff=103度
この計算結果を元の表に当てはめると下のようになります。(カッコ内の数字は計算値です)
状況 |
冷却開始 温度 |
水温 |
(参考) 純正時水温 |
町乗り(t40)
(外気温40度) |
63度
(Tstl) |
75~85度
[Taft.all(t40)] |
- |
〃 |
76.5度
(Tsth) |
(88.5~98.5度)
[Taft.rad(t40)] |
(95~105度)
[Tpre(t40)] |
サーキット(sct)
(晴・夏季) |
63度
(Tstl) |
83度
[Taft.all(sct)] |
- |
〃 |
76.5度
(Tslh) |
(96.5度)
[Taft.rad(sct)] |
(103度)
[Tpre(sct)] |
実際は町乗り停車中はFANが動作するでしょうし、
温度の高い方が温度低下の幅は大きいはずなので、
実際ここまではあがらないでしょうけど・・・
補正値としては2~3度のものでは無いでしょうか?
町乗りについては、
私の友人の車が冷却系純正で真夏に100度超えを記録していますし、
計算の結果でも純正で100度超え確実のようですから・・・
まぁ、
サーモスタットを純正に戻してもアルミ3層の効果が多少は期待でき、
エンジンに対する負荷は幾分抑えられそうです
続いてサーキットですが、
対策後の83度というのは真夏のサーキットを殆ど全周全開30分の温度であり、
春の水温94度とは状況が違います
(春の水温は1周全開、2周以上クーリング)。
楽観的に考えれば、
サーモスタットを純正に戻しても、
油温無視で全開走行30分でも100度以下に抑えられそうです。